かつて、チャンスが目の前まで来たのに、
飛びつく勇気も、自信もなくて、
ただ見送ることしかできず、後悔してばかりのわたしだった。
あのときは、
“できない自分”を責めるだけで、
“育てる”という発想がまったくなかった。
でもある日、ふと思った。
自信って生まれつきじゃなくて鍛えるものじゃない?
そこで始めたのが、ネイルサロンに行くことだった。
誰かのためでも、仕事のためでもなくて、
“自分に自信をもつ練習”として。
月に一度、
自分の好きな色を選ぶ。
「今日はこれがいい」と言い切る。
ただそれだけのことなのに、
不思議と少しずつ“自己決定”ができるようになった。
「わたしはこれが好き」
そう言えるだけで、世界がキラキラする瞬間がある。
教養もほしくて、読書の習慣をつけた。
早いときは2日で1冊。
どんなに忙しい時でも、時に気分がのらなくても、10日に1冊は読むようにしている。
本を読むと、
世界の捉え方が変わる。
言葉の選び方が変わる。
気づいた頃には、
論理的に話す人たちから
「発言が変わったね」と言われるようになった。
その一方で、
感情だけで話したり、
主語も述語もない会話が
以前よりぐっと難しくなった。
自分が“考えて話す側”に移動したからだと思う。
でも、これは決して欠点じゃない。
むしろ成長の証。
あの頃のわたしは、
誰かの言葉に合わせるだけの“受け身の人生”だった。
今の私は、
言葉を選び、行動を選び、
自分で自分を育てている。
ネイルの色を選ぶところから始めた小さな練習が、
読書という習慣になり、
気づけば“自分の軸”になっていた。
粋なおばあちゃんになるために、
私は今の私をコツコツ積み重ねている。

コメント